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【相続コラム③】遺留分について

今回は、「遺留分」について、解説いたします。

「遺留分」とは、簡単に言えば、遺産のうち、兄弟姉妹を除く法定相続人に対して保障される、(遺言書の作成によっても奪えわれない)最低限の遺産取得分のことです(民法1042条1項)。

 遺産が誰にどのように分与するかは、原則として、故人(被相続人ないし遺言作成者)の意思が尊重されます。自己の財産をどのように処分するかは本人の自由であることが原則だからです。


 とはいえ相続には、残された家族の生活保障や婚姻生活で築いた資産の清算という意味合いがあります。このような意味合いをなくしてしまうような故人の遺言や贈与等(愛人に全財産をあげる等)に従って、遺産を完全に故人の自由に処分する、というわけにはいきません。


 そこで民法は例外として、一定の遺産の取り分(遺留分)を法定相続人に保障しているのです。
 自分の遺留分を他の相続人や受遺者に侵害されない限り請求できない点が、権利侵害の有無に関係なく権利主張できる法定相続分との大きな違いとなります。

1 遺留分権利者(遺留分のある人)


 遺留分は、兄弟姉妹を除く法定相続人に認められています。つまり、被相続人の配偶者、子及びその代襲相続人、子及びその代襲相続人がいなければ直系尊属(父母、祖父母など)です。


●代襲相続では遺留分も承継される
 遺留分権利者のうち、子が被相続人より先に亡くなっていた場合、代襲相続が発生し、子に代わって孫が代襲相続人となりますが、このとき子と同様に孫にも遺留分が認められることになります。


●胎児にも遺留分はある
 仮に相続発生時に、被相続人の子がまだ胎児の状態であったとしても、遺留分が認められます(民法886条1項)。
 とはいえ、胎児が相続権を主張できるためには無事に出生することが条件となるので、死産の場合には遺留分はありません(同条2項)。


●相続欠格事由に該当、または廃除されると遺留分も失う
 元々は遺留分権利者であっても、相続欠格事由に該当する行為をした場合や、被相続人から廃除された場合、相続人ではなくなるため遺留分も失います。
 相続欠格事由には、故意に被相続人や自分より先順位・同順位の相続人の殺害(未遂も含む)による有罪の確定(※)、被相続人が殺害されたのを知りながら告発・告訴しない不作為、詐欺や強迫による被相続人の遺言書作成などへの干渉、遺言書の変造・破棄・隠匿といった、相続制度のルールを破壊する重大な非行・不正行為が挙げられます(民法891条)。 ※執行猶予期間中の者、執行猶予期間満了の者は除かれるとされています。
 また、廃除とは、被相続人に対して虐待や重大な侮辱をおこなったり、著しい非行があったりした場合に、被相続人の請求により、当該相続人の相続権を剥奪することです(民法892条)。

2 遺留分の割合


 遺留分の割合は相続人ごとに違います。基本的には法定相続分に基づいて計算されます。 

 ・直系尊属のみが相続人となる場合には、法定相続分の3分の1
 ・それ以外の場合には、法定相続分の2分の1 が遺留分です。

3 遺留分侵害額請求権


遺留分を侵害された遺留分権利者は、被相続人から遺贈・死因贈与・生前贈与等で財産を譲り受けた人に対して、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求することができます(民法1046条)。
 正当な遺留分侵害額請求であれば、請求を受けた者は支払いを拒むことはできません。
 遺留分は、現金での一括払いが原則です。


 遺留分相当の現金がない場合は、裁判所に支払い期限の許与を求める訴えを提起することもできます(民法1047条5項)。
 なお、令和元年(2019年)7月に民法が改正されたため、令和元年(2019年)6月30日までに発生した相続は改正前民法が適用され「遺留分減殺請求」を行うことになります。
 基本的なルールは変わりませんが、遺留分減殺請求の場合、金銭請求ではなく現物返還が原則です。

4 相手方が複数いる場合の請求先の優先順位


 遺留分の請求先となる相手は、以下の順番で決まっています(民法1047条1項)。
 (ⅰ)遺贈を受けた人
 (ⅱ)死因贈与を受けた人
 (ⅲ)生前贈与を受けた人(※)
※生前贈与を受けた人が複数いる場合には、後に生前贈与を受けた人が先に遺留分侵害額を負担する。

5 遺留分侵害額請求の対象になる生前贈与の期間


 遺留分侵害額請求の請求先は生前贈与全てが対象となるわけではありません。
 請求の対象となりうる生前贈与は、以下のいずれかです。

  ・法定相続人に対する、相続開始前10年以内に行われた贈与(特別受益にあたるもの)(1044条3項)
  ・法定相続人以外の者に対する、相続開始前1年以内に行われた贈与(1044条1項)

 ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、上記の期間以前であっても請求の対象に含まれます(1044条1項)。

6 遺留分侵害額請求の時効


 遺留分侵害額請求には、
(ⅰ)相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内、
 かつ、
(ⅱ)相続開始の時から10年以内に行わなくてはならない
という消滅時効期間があります(1048条)。

 遺留分侵害額請求を検討している際は早急に行動する必要があります。
 逆に請求を受けた人は、この消滅時効が完成していれば、支払いに応じる必要はありません。

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