解決事例

【解決事例・交通事故】過失割合を当初の請求より下げた事例

事件の概要

 駐車場内の交通事故に関する解決事例のご紹介です。

 依頼者であるAさんは、ショッピングモールの地下駐車場内の交差点を右折して出入り口方面に向かおうとしていました。
 通路に少しだけ車の頭を出して左右の確認をすべく、Aさんはゆっくり車を前に動かしていました。すると、左方向から、バイクを運転していたBさんが、通路を右寄りに走行し、直進してきました。

 Aさんは、まず自身の進行方向の右側の安全確認を行っていたため、Bさんの存在に気付かず、次の瞬間にはBさんのバイクがAさんの車にぶつかっていました。というのも、交差点に進入して右折をしようとしていたAさんからすると、手前を走行するのは自身の右側から左側へ進行する車両のはずであり、左側から通路を右寄りに走行してくる車両が現れることなど、常識的に考えてあり得なかったからです。

 事故発生後、Aさんは慌てて車から降りてバイクと共に横たわるBさんに対して「大丈夫?」と声をかけました。するとBさんは「お前が飛び出してきたのが悪い!」と怒っていました。Aさんとしては、「えっ、そっちが通路の右寄りを走っていたのが原因じゃないか」と思ってBさんの態度にびっくりしましたが、咄嗟のことに何も言えない状況でした。

 Bさんには幸いにも特にケガはありませんでした。しかし、大事にしていたバイクに傷がついたことに非常に腹を立てていました。
 一方Aさんにもケガはありませんが、BさんがAさんの車にぶつかった拍子に車のボンネットに大きな凹みが生じており、とてもこのまま運転するわけにはいかない、という状態でした。

 警察に通報して(事故が発生したら警察に通報するのが義務です)現場で聴取されましたが、Bさんは激しく怒っていて、あまりの剣幕にAさんはつい「私が出入り口の方ばかり注意していて右側を見ていなかったかも・・・」と言ってしまいました。

 事故はその後物件事故で処理されましたが、Bさんはバイクの修理代金をAさんに請求してきました。その修理代金は30万円で、その全額をAさんに払ってほしい、との主張でした。すなわち、Bさんとしては本件事故の過失割合について、「Aさん:Bさん=100:0」、という認識でした(Bさんの無過失事故)。

 Aさんは、確かに通路の交差点部分に車両の顔を出しながらすぐに左右両方の確認をできなかった自分にも落ち度はあるのかもしれないが、今回の事故は何よりもBさんが通路の右寄りを走っていた、すなわち逆送をしていたために起きた事故であって、むしろ自分の方が過失割合は低いはずである、と考え、Bさんの請求に納得がいきませんでした。

そこで、Aさんは自身の自動車保険の弁護士特約を使用して、本件について弁護士(当職)に相談し、そしてそのまま交渉を依頼することにしました。

交渉結果


 Aさんの主張の通り、本件事故はBさんの逆送が原因で発生したものであるため、Bさんの方が重い過失割合になる、と述べ、当職はBさんと交渉を試みました。
 しかし、Bさんは一歩も引きませんでした。
 そのため、埒があかず、当職は本件について民事訴訟を提起して、裁判所の判断に委ねる事としました。

裁判結果


 結論として、約10ヶ月の裁判の結果、本件事故の過失割合を「Aさん:Bさん=4:6」とすることで、和解が成立しました。AさんよりもBさんの方が少し悪い、という内容です。

 Aさんの車にもBさんの車にもドライブレコーダーはついておらず、客観的に事故の状況、すなわちBさんが逆送をしているかどうかを示す証拠は何もありませんでした。

 しかし、左折をしようとしていたAさんの車両とBさんのバイクが衝突するというのは、Bさんが通常通り通路を左寄りに走行していたのであれば、Aさんが大きく膨らんで左折するような場合でないとあり得ないものの、そのような異常な運転をAさんが行ったことを示す証拠はなく、通常通り小回りでAさんは左折しようとしたものと認定できるので、やはり結局のところ異常な運転(逆送)をしていたのはBさんである、と事故状況からして推認できる、という説明が裁判官からなされました。

 とはいっても、駐車場内の通路には中央線があるわけでもないので厳格に逆送だと認定するわけにもいかないので、Bさんの一方的な過失により本件事故が発生したと認定することもできず、落とし所としてBさんの方が少し悪いということを示すため、前述の過失割合とすることでどうか、という和解案の提示がなされたのでした。

 AさんとBさんは、お互いの主張がそのまま認められたわけではないものの、このまま裁判を続けても疲弊するだけであるし、早期解決のためにも裁判所の和解案に応じることにして、無事に解決となりました。

さいごに

 駐車場内の通路であっても、通常、その駐車場を利用する人や車両の安全を図るためにも、標識等に基づいた安全運転が当然に求められます。逆送をしてはいけないのは当然です。
 もっとも、なかなか公道と同じようには厳格に判断できないものです。
駐車場内の交通事故の過失割合は、いろいろな要素をもとに判断されるのですが、実は典型例として用意されているものが少なく、紛争が裁判に至ることも多々あります。

 「駐車場内の事故だから」という理由で安易に「5:5」の過失割合が提示されることもあります。納得がいかない過失割合の提示がなされた場合、諦めず、まずは気軽に弁護士にご相談ください!
 

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