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【法律コラム】パワハラ編②

 今回は、具体的なパワハラ例を見ていきます。
 パワハラは、代表的な言動を6つ類型に分類されます。

【例】上司が部下に対して、殴打、足蹴りをする。

 殴打などの暴行、傷害は分かりやすい身体的な攻撃ですが、モノを投げつけたり、コップの水をかけたりすることも身体的な攻撃にあたります。
 なお、当事者同士に優越関係がなく、単なる同僚間・友人間のケンカのような場合は、パワハラに該当せず、傷害事件・暴行事件になり得ます。

 単に、(故意ではなく)通りすがりに当たったなどの行為は、パワハラとは言われません。

【例】先輩が後輩に対して、「役立たず!」「クズ」などの人格を否定するような発言をする。

 また、注意や指導する側は注意・指導と考えていても、その頻度や内容、継続性が度を超えるとパワハラに該当すると認定されることがあります。

 社会的ルールを欠いた言動を再三注意しても改善しない場合に、強く注意するは、パワハラに該当しないとされる例が多くあります。

【例】自身の意に沿わない社員に対して、仕事から外し、長期間別室に隔離したり、自宅研修させたりする。

  新入社員の育成研修で、短期間集中的に個室で研修を受けてもらったり、1泊2日の宿泊研修等を実施することは、人間関係の切り離しには当たらないとされます。

 【例】社用車にキズをつけたペナルティとして、1ヶ月の間会社敷地内の除草を命じ、休ませない。

  スキルアップのため、少し高いレベルの仕事を任せたり、仕事上の目標を少し高く設定させたりすることは「過大」ではなく、教育の一環と評価されることが多いです。

 【例】支店長が本部からの要求に従わなかったので、降格させ、一般従業員として受付業務に転向させた。

 従業員の側になんらかの問題があったとして、配置転換したり、この職場には向かないからと退職勧奨をすること自体は違法でも不当でもありません。しかしその際に、相手の人格を否定したり、不当な心理的圧力を加えると、配置転換や退職勧奨自体が違法になってしまいます。

 労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減した場合などはパワハラと認定されないことがあります。

 【例】精神的な疾患で病気休暇を取得したことを社内メールで一斉の送信された。

 判例には『個人の健康状態、心身の状況、病歴等に関する情報は、通常は他人に知られたくない情報である。したがって、本人の同意を得ることなく、これをみだりに公表することは許されない。』としています。個人の同意を得ずに個人のプライベートを公表することは個の侵害としてパワハラの一つにあげられます。

 公表することは個の侵害となりますが、配慮のために個人の病歴や家族の状況など機微な個人情報をヒアリングすることは、個の侵害とはなりません。

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