【事案の概要】
依頼者は、妻子がある立場でありながら、職場の同僚と不貞行為(不倫)に及んでしまいました。
そのことが相手の夫にばれてしまい、弁護士から受任した旨の電話連絡がありました。
依頼者の年収は約400万円ほどで、小学生のお子さんが3人いらっしゃいました。
お子さんたちと離れることは考えられず、なんとか妻にばれないように交渉して、早期に終わらせてほしい、という希望のもと、当職は交渉の依頼を受けました。
【交渉の経過】
不貞をしたこと自体については証拠が取られており(LINEのやりとりに関するスクリーンショットや、ラブホテル内で撮影した写真等)、不貞の事実自体を争うことはできませんでした。
相手の夫婦関係が破綻していたこと、少なくともそのように依頼者は信じていたことなどの反論をすることも可能でしたが、依頼者としては早期に解決させることを希望していたため、特に反論をせず、慰謝料の金額の交渉に注力することにしました。
具体的には、400万円の慰謝料の支払いを求める相手に対し、「そのようなお金は自分の収入状況からしてどうしても支払えない」「友人から借りて回って、一括で支払うので、なんとか減額してほしい」と回答しました。
その後何度かのやりとりをはさみ、最終的には金100万円を一括で、1週間以内に支払う、という内容で合意ができました。
【ひとこと】
結局、妻子にばれることなく解決できたため、依頼者としては安心しておられました。
金100万円は数人の友人に貸してもらったようで、現在お小遣い等からなんとか返済しているとのことでした。
なお、相手方が雇っている弁護士は、「着手金無料、完全報酬制」で不貞の慰謝料請求事案についてを受任することで有名な事務所でした。
通常、弁護士との委任契約を締結する際には、着手金として20万円ほどの費用を契約時に支払うことが多いです。しかし、不貞の慰謝料請求をする場合、「悪いのは相手なのになんで自分が高額な弁護士費用を先払いしなければならないのか」と疑問に思う方も多く、完全報酬制の事務所を選ばれる方が多いようです。
もっとも、流石に裁判を提起する段階では、一定の着手金の支払いをお願いされることが多いようで、本件も、「どうしても100万円までしか難しい」という回答をし続けたため、弁護士から「裁判します?着手金がかかりますけれど、、」との説明がなされ、手出しを嫌がった相手方が渋々提案を受けた、という可能性があります。
このように、交渉には様々な要因が影響するため、一概にうまくいく交渉というものはありませんが、当職は以前所属していた事務所での担当事件も含め、様々なパターンを経験しておりますので、その経験が依頼のお役に立てるものと考えております。
弁護士 泊 祐 樹
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