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【解決事例・離婚④】離婚の原因について、特段慰謝料の発生事由はないものの、100万円の解決金を受け取った事例

離婚事件に関する解決事例です。

※先にお断りをさせていただくと、以下の解決内容は相手方の意向も加味した「和解」的解決でありましたので、似たような事案で必ず同じ解決が実現できるというものではございません。参考までにご覧いただければ幸いです。

<事案の概要>

本件は、お子様のいない、双方30歳前半の夫婦の離婚の事件でした。当職は妻の方から離婚の条件交渉の代理の依頼を受けておりました。

妻が夫と離婚をしたい理由は、夫が家事を手伝わないこと、妻の料理や洗濯にいつも文句を言ってくること、夫が休日はいつもゴルフやパチンコや友人との飲み会など自分の趣味を優先していたこと、などでした。

これらは、民法770条1項各号が定めるような法律上の「離婚原因」には該当するとは(原則として)言えず、これらを原因として離婚をすることになっても、通常は慰謝料の支払義務が発生しない、という類のものでした。

しかし、妻は結婚を機にそれまで働いていた会社を退職しており、離婚後再就職をして自身の稼ぎで生活をしていくことにするとしても、それには一定の期間が必要だと見込まれました。それまでの生活保障のためにも、夫には一定額のまとまったお金を支払ってほしい、と妻は主張しておられました。

なお、夫婦の財産と呼べるものはまったくなく、むしろ借金生活でした。車も不動産も保険も、何もないという状況でした。そのため「財産分与」という方法で一定額のお金を請求することもできませんでした。

このような状態で当職は離婚条件の交渉について依頼を受け、方針について検討することになりました。

<法律豆知識>

※ここで、「離婚の慰謝料」について簡単な解説をさせていただきます。

芸能人の離婚のニュースなどを目にしている一般の方からすると、ひょっとすると、「離婚をしたら、男が女に多額の慰謝料を支払うのが当たり前」と思われるかもしれません。

しかし法律上、慰謝料の支払い義務が発生するのは、原則として、離婚原因となったその行為について、離婚をしないとしてもそれ単独で「不法行為」と評価されるものに限定されます。

具体的には、不貞行為(不倫)や暴力(DV)が行われた場合に限定されるのです。

ですので、今回の場合も、このまま離婚裁判で話をすることになり判決で裁判所の判断をもらうことになったとしたら、妻が夫から慰謝料を受け取ることは出来なかったと思われます。

<当方の方針>

前述の通り、この事案においては、妻としては夫に、慰謝料名目でも財産分与名目でも、離婚に際して原則としてお金を請求することはできない状況でした。

もっとも、離婚をせずに別居をした場合、妻は離婚が成立するまでの間、夫に婚姻費用(生活費)を請求することが可能な状況でした。

すなわち、たとえ離婚をすることを予定して夫婦が別居をしている場合であっても、まだ離婚が成立していない以上、法律上はまだ夫婦なのであり、収入の多い配偶者はもう一方を扶養する義務を負い続けます。稼ぎの多い方がそうでない方へ、毎月一定額のお金を渡さないといけないのです。

そしてその金額の計算は、全国の家庭裁判所で参照されている、「算定表」に従って行われることになります。

本件では、夫の年収が400万円であったのに対して、妻の年収はパートによる年間100万円でしたので、「算定表」に従って計算し、毎月約5万円の婚姻費用を、妻は別居をしながら夫に請求できる立場にありました。

妻側の代理人としての当職としては、このことを指摘し、夫(具体的には、夫も代理人弁護士を雇いましたので、その代理人弁護士)に対して、「このまま離婚調停や離婚裁判になると、1年や2年の時間がかかることも考えられる。そもそも妻側に法律上の離婚原因はないし、こちらが希望すれば離婚は成立させずに別居を続け、婚姻費用を請求し続けるということも可能(もちろん、永久にというわけではないが)。ですので、将来の婚姻費用の支払に代えて、というわけではないが、その約2年分にあたる、金120万円という金額を解決金として今支払ってもらって、早期に離婚を成立させないか。お互いの今後の人生のためにも、次のパートナーを見つけるのであれば早く本家は解決させた方が良いですし。」という提案をしました。

<解決内容>

これに対して、夫側は、手元にお金がないこともあって渋る反応を示しましたが、その後の交渉の結果、提案金額から一部だけ譲歩(減額)をした、金100万円という金額であれば、解決金として、離婚の成立と同時に一括で支払うことに合意する、と回答してきました。妻側としてもこれに応じることにしました。

その旨の離婚協議書を作成し、離婚届を作成して、受任から約1カ月後には、離婚が成立しました。

<感想>

本件の解決内容には、依頼者(妻)に大変喜んでいただけました。

「自分たちで話し合っても感情的になり話が進まず、どうかなってしまいそうだ、と悩んでいたところ、(双方)弁護士を入れたことで冷静な話ができて、しかも自分の希望通りの解決となった」と言っていただけました。

もちろん、冒頭でも触れましたが、この解決方法が一般的とまでは言えませんし、相手が当職の提案に応じないと回答した場合には、依頼者の希望を叶えるためには実際に婚姻費用の分担を求める調停を家庭裁判所に申し立てる等の手続をせざるを得ず、解決までに相当の期間が必要となるところでした。

後日談ですが、依頼者から聞いたところ、夫は離婚後直ぐに別の女性と交際を始めたようで、夫としても早く離婚を成立させたい事情があったようです。そのため割とすんなりと(他から借りてまで)解決金を支払って離婚を成立させようという気になったのであろう、と依頼者と話をしました。

離婚の条件に関する交渉・調停・裁判は諸々の事情が絡み合い複雑化することが多くございます。他の様々な事例を実際に見てきたからこそ可能な、弁護士ならではの提案もございます。当事者同士での話し合いでは埒があかない、もしくは話をすること自体精神的に苦痛であると思われる際は、是非お気軽に弁護士にご相談ください。

弁護士  泊 祐樹

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