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【解決事例・企業法務③】(賃料の勝手な減額を防いだ事案)

【事案の概要】

今回は、不動産の転貸によって収益を得ている企業に関する解決事例を紹介させていただきます。

依頼会社(以降、「A社」とします)は、不動産会社(以下「B社」)を通じて、自社ビルを一般の方に転貸し、賃料収入を得ておられました。

一般の方(入居者)がB社に賃料を支払い、B社が自社の管理費などを差し引いた上で、A社に賃料を支払うという状態です。

そうすると、B社が急に、A社に対して支払う賃料を減額する、ということを通知してきました。

その理由として、当該物件がある地域の地価が下がっていて、相場に適さないほど高額になってしまっているから、ということを説明されました。

突然の減額に納得がいかないA社は、「地価が下がっているなんて考えられないこと」や「他の類似の物件に比して特段家賃が高いことなどない」といったことを、客観的な証拠と共にB社に説明し、拒否の姿勢を示しました。

するとB社は、「こちらの判断で、もう来月からはこちらの主張額、すなわち減額後の賃料しかお支払いしませんので」と言って、一方的に交渉を終了させ、実際に勝手に賃料を減額して支払ってきました。

なんとかしてほしい、ということで依頼を受け、当職がA社の代理人として行動することになりました。

【結果】

B社は勝手な減額を辞め、元の賃料の支払いを再開すると共に、勝手に減額していた期間の賃料の差額もまとめて支払ってきました。無事にA社の請求を通す解決ができました。

【解説】

借地借家法第32条1項本文は、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」と規定しています。

本件の減額請求も、これに基づいてなされました。

しかし、ここでいう「不相当となったとき」とは、簡単に認められるものではなく、相当のハードルがございます。

また、賃料減額の交渉がうまくいかない場合に、賃借人が相当と考える額に勝手に減額ができるとなると、賃貸人としてはたまったものではありません。話し合いで解決しない場合、調停を申し立てて裁判所で話をして、それでも合意に至らない場合は裁判を提起して、裁判官に判断してもらう必要がございます。そこで賃料減額が相当という判決が出て初めて、賃料の減額が認められるのです。

そういった「法律上の原則」を説明し、「このまま勝手に減額をし続けるのであれば、後に遅延損害金を上乗せした上で返還請求裁判を起こしますからね」ということを当職がB社に通告すると、先述の通りB社は当方の主張に応じることとなりました。

【おわりに】

不動産会社から賃料を増額する、あるいは減額する、と言われてしまうと、一般の貸主ないし借主としては「応じないといけないのかな」と思ってしまい、要求に応じてしまいがちです。

応じる必要がない場合が多くございますので、そのような通告がなされた場合は、まずは一度とまり法律事務所までお気軽にご相談ください。

  弁護士  泊 祐樹

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