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【法律コラム】雇う時の注意ポイント!!

 4月になり、新入社員を迎え入れたり、新しくアルバイトを雇ったり、という会社も多いのではないでしょうか。
 今日は、どんな雇うときの注意ポイントをお伝えします。
 対象になるのは、労働者、つまり正規・非正規、短期(パート・アルバイト等)など働き方に関係なく、働いている人全員対象です!!!(細かい適用範囲等で少し違う場合がありますが、大枠は全員に適用されると考えてください。)

 雇い始めてから「聞いていない」「話が違う」というトラブルを避けるためにも、使用者(会社)は労働条件を書面で交付し、明示することが義務付けられています(労働基準法第15条)。これを怠った場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されます(労基法第120条)。

求人時、労働契約時に何を明示すべきかは、労働基準法施行規則第5条に詳しくあります。

  1.   労働契約期間はいつまでか
  2.   有期労働契約の場合、更新するの基準(通算契約期間又は契約更新の上限回数を含む)
  3.   就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)
  4.   始業及び終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交替制勤務のローテーションなど
  5.   賃金の決め方・計算方法・支払方法、賃金の締め日と支払時期、昇給に関すること
  6.   退職に関すること(退職手当の有無、退職手当の決め方・計算方法・支払方法、解雇事由を含む)
  7.   退職手当を除く臨時に支払われる賃金、賞与等並びに最低賃金額に関すること
  8.   労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  9.   安全及び衛生に関する事項
  10.   職業訓練に関する事項
  11.   災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  12.   表彰及び制裁に関する事項
  13.   休職に関する事項

 このうち1~6は、絶対的明示事項でどのような労働形態の労働者であっても必ず明示しなければなりません。
 さらに、短時間労働者(パート・アルバイト)で対しては、昇給・退職手当・賞与の有無及び労働者向け相談窓口についての明示も必要です。従って、アルバイトやパート労働者に対して退職金や賞与の支給制度がない場合は、「無い」旨通知する必要があります。
 1~7についてはきちんと説明し、合意を得るようにしましょう。
 上記8~13の事項についてはそのような制度を設けていない場合は省いても問題ない、とされています。

 アルバイトやパートの人に対しては、シフト制を導入されている会社は多いと思います。
 業務のキャンセルがあり人手が十分なときに休みにしたり、逆に急な従業員の休みで代わりの人が必要で呼び出したり、ということを、雇い主が一方的に実行することは労働契約法(第9条)違反になります。本来就業して賃金を得られるはずだったのにその機会を失った、本来は就労義務を負わなかった時間帯に就労義務を負うことになったと見なされ、その増減はあるとはいえ、労働者にとって労働条件の不利益変更に該当するとされます。
 そして、労働条件の不利益変更は、労働者の合意なしにしてはいけません。

第8条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

労働契約法

第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。

労働契約法 第9条 前段

 業務量を把握し、労働者の希望を聴取し、シフト作成時点において変更がないようにしておくことが基本になります。それでもやむを得ず会社の都合でシフト変更をする場合は、労働者になぜシフト変更が必要なのか説明し、合意を得るようにしましょう。
 なお、地震、落雷などの自然災害や戦争・紛争などが発生したとき、コロナのような大規模な感染症が流行しロックダウンをするとき等の不可抗力でやむを得ず休業する場合は、休業手当の支給は不要とされていますが、雇い主の過失や経営難といった会社都合の休業の場合は休業手当支給対象になり得ます。

第26条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

労働基準法

 正規労働者であっても時短労働者であっても、1日8時間、週40時間以上の労働はさせてはいけません。休日をきちんと与え、時間外労働があった場合は割増賃金を支払わなければなりません。
 このためには適切に労働者の勤務時間を把握する必要があります。勤務時間の把握は、雇い主の義務です。

第66条の8の3 事業者は、第66条の8第1項又は前条第1項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第1項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

労働安全衛生法

 働き方改革により、長時間労働者に対しては雇い主は指導のほか医師への受診を勧めるなどの措置を講じなければならないと労働安全衛生法に規定されました。そして長時間労働を把握するために労働者の勤務時間をきちんと把握しなければならないのです。
 勤務時間の把握については把握していないからといって処罰はありませんが、賃金台帳の適正記入がない(労働日数や労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数などが適正に記入されていない)場合や、タイムカード等の労働時間に関する記録を保管していない(記録保管年数は3年)場合は、30万円以下の罰金に処される可能性があります。

 自爆営業とは、雇い主が労働者に対して自社製品や取引先の製品購入を強制するものです。実態に反して「営業社員の自主的な協力」として扱われているケースが少なくなく、問題になっています。過剰なノルマ達成を課す場合や商品代金の給与天引きなどもいけません。

 ノルマを課すこと自体は労働者の成長のためという合理的な範囲であれば問題ではありませんが、ノルマの未達成を理由にペナルティを課す行為は労働基準法違反に該当します。

第16条 使用者は、労働者の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法

 賃金は、通貨で支払う必要があり、現物支給として商品代金分を給与天引きすることは違法です。
 仮に労働者本人が(会社からの強制ではなく)希望して購入した場合であっても、協定なく給与天引きすることはできません。

第24条1項 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

労働基準法

 悪質なケースになると、刑法の強要罪に該当する可能性も出てきます。

第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴力を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する

刑法 強要罪

 労働施策総合推進法が改正され、パワハラ防止対策を講じることは雇い主の義務になりました。ノルマ達成を不合理に(合理的な基準以上に)強いている場合、パワハラに該当する可能性が高いです。

 誰かを雇うとき、トラブル防止のために、きちんと会社の就業規則を理解し、労働者に対しては説明し同意を得ておかなければなりません。また、「就業規則で決まっているから大丈夫!」「労働条件通知書に明示して同意を得たから大丈夫!」と考えていても、そもそもの規定が改正され続けている労働基準法等関連法に違反していたら、その規定は無効です。
 雇う前に、就業規則や会社の方針・方法が適法か確認しておくといいでしょう。

 自爆営業のペナルティという登場をしましたが、労働基準法第16条にあるように、「労働者の不履行についてあらかじめ違約金等を定めることは労働基準法違反」です。これは自爆営業だけでなく、ほかにもあらかじめペナルティを課すことはできない、ということです。つまり、労働者が事故を起こした場合の賠償を労働者自身に負わせることや労働者が遅刻や欠勤した場合に違約金の支払いを決めておくということはできない、ということです。

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