毎年7月ごろ、最低賃金に関する話し合いが労働者側と企業側とで行われており(厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会)、上がり幅の目安が決まります。
2022年8月2日付けで、全国平均で時給961円を目安とすることでまとまったと発表がありました。現在の平均額から31円の引きあげになります。

2020年はコロナ禍の影響が大きく雇用維持を優先したため、地域別の全国平均で1円しか上がりませんでした。(901円→902円)
2021年はコロナ禍が落ち着きを見せ、雇用促進・経済回復を狙って、28円の引き上げ目安が発表されました。(902円→930円)
2022年は昨年を上回って引き上げられました。
ウクライナ危機を契機とした資源高で物価が上がり、なかでも生活必需品の値上がり幅が大きいことを踏まえ、労働者の生計の維持を重視したためです。
ただ、資源高は企業側にも負担で、生産性の向上や適正な価格転嫁など、引き上げ環境の整備に向けた政府の支援も求められました。
例年7月上旬までには話し合われ発表されていた最低賃金目安ですが、今年は異例で8月まで持ち越しています。労働者側と企業側、お互いの要求をまとめるのが如何に困難だったかがわかります。
ともあれ、最低賃金のひきあげが発表されたからには、企業側としてはその最低賃金を守らなければなりません。
ちなみに、福岡県は870円→900円(30円ひきあげ)です。
最低賃金のひきあげは、いつから?
各都道府県で違いますが、おおむね10月から発効します。
昨年、福岡県は10月1日から発効しました。これは、令和3年10月1日勤務分から最低賃金が有効になるという意味です。
最低賃金の対象従業員とは?
職場で働くすべての労働者に適用されます。
正社員、有期雇用、パートタイマー、アルバイト、試用期間中、嘱託等の雇用形態は関係ありません。
ただし、同居の親族のみを使用する事業、家事使用人は、労働者に該当しませんので最低賃金は適用外となります。
最低賃金の対象となる賃金とは?
最低賃金の対象となる賃金とは、毎月支払われる基本的な賃金のことを言います。具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象です。
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 時間外労働・深夜労働・休日労働に対する賃金
このように計算した最低賃金が、例えば労使で合意のもと、最低賃金より低い賃金を定めても、それは最低賃金法で無効とされます。
最低賃金を支払っていなかったら?
都道府県ごとに定めた最低賃金額を下回る形で賃金計算を行っていた場合は、最低賃金法の第40条にもとづき、50万円以下の罰金という刑事罰が科せられます。
まとめ
最低賃金より少し余裕をもった賃金設定をしていれば、毎年10月に引き上げる措置を取る必要がなくなりますね。
最低賃金は、雇う上でも、働く上でも、最低限のルールです。
使用者の方も、労働者の方も、必ず確認するようにしましょう。