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【解決事例・相続①】

<事案の概要>
当職が相続人の一人について代理人となり協議を行った、遺産分割協議事件についてです。

Aさん(男性、82歳)が他界され、そのお子様たち4名(B,C,D,E)がAさんの財産を相続することになりました。なお、Aさんの妻であるFさんはAさんよりも前に他界されており、Aさんの法定相続人(法律上、相続人となる人)はB,C,D,Eの4人だけでしたし、Aさんは遺言書も作成しておりませんでした。

長男であるBさんはAさんが亡くなる10年前から、Fさんの他界を機に、AさんとAさん名義の建物(BCDEさんからするとご実家)にて同居をしていました。Bさんの妻であるGさんは、とても献身的に義父にあたるAさんの身の回りの世話や家事、介護を担当していました。

もっとも、その代わり、BさんはAさんの年金をすべて受け取っており、GさんがAさんの生活費や娯楽費を含めて生活費を管理していた、という状態でした(受け取った年金はすべてBさん名義の口座に移されていました)。

BさんはかねてよりBさんやGさんがAさんが他界しても変わらない生活を送れるよう、Aさん名義の建物の名義をBさんに替えることや、同建物をBさんに譲る旨の遺言書を作成することを、Aさんにお願いしておりました。しかしAさんは楽観的に物事を考えるところがあり、「まさか自分の子供たちが相続で揉めるはずがない。CDEは長男であるBに全部譲るはずだ」と考え、生前贈与にも遺言書の作成にも、応じてくれていませんでした。

いざAさんが他界すると、残された不動産はBさんとGさんが住む不動産(土地と建物)のみ。預貯金は数千円程度しか残っておらず、株も何もない、という状態でした。

Bさんは「今まで介護もしてきたんだし、実家は自分がもらうということでいいよな」とCDEに対して提案したところ、CDEはこれに反発してきました。
CDEは代理人弁護士を就けた上で、「10年間も賃料も払わずに実家に住めて、しかも年金まで受け取っていたんだから、Bはとても得をしている。実家はそのまま使っても良いが、多額の代償金(相続で多くの財産を受けとった人が、他の相続人に対して自身のポケットマネーから渡す、調整金の趣旨の金銭)を払え」と主張してきたのです。

たまらず、Bさんは当職に依頼をしてきて、遺産分割についての交渉が始まった、というのが本件事案です。

<流れ>
当職は(Bの立場で)
「長年の介護の事実もあるし、本件建物は相当老朽しているため(築50年)、財産上の価値もない。土地も固定資産評価額は1000万円以上あるが、これはあくまでも更地の価格なので現実的ではない。そのためこの土地建物は無償でBが相続してしかるべきものである。もっとも、きょうだい間での紛争を続けることは天国の両親にも申し訳ないため、一人50万円の代償金は支払わせてもらう」
という提案をしました。

すると、間髪入れず、CDEの代理人弁護士から「話にならないので遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てます」との回答が来て、遺産分割調停の手続が開始しました。

その調停は2年にもおよび、双方から「自分はAに対してこんなことをしてあげた」「あいつはAからこんな生前贈与(優遇)を受けていた」「本件不動産の価値はもっと高い(低い)と考えるべきである」などの主張が飛び交いました。
不動産を相続するのであればBである、ということには争いがなかったのですが、Bとしてはどうしても高額の代償金をCDEに支払う事に抵抗感があったため、「代償金を支払ってBが相続財産を取得する」という方法は、ついに諦めざるを得なくなりました。

<結果>
最終的には、A名義のこの土地建物を、売却して、売却益(仲介業者にかかった費用や税金をすべて差し引いた上での純粋な利益)を、4人で均等に分ける、という方法で解決させることになりました。このような解決方法を、「換価分割」といいます。

建物は取り壊して更地とする前提でしか買い手が見つからなかったため、解体費用を加味して、買い取り価格は固定資産評価額よりも低額に設定されました。それでも、Bに代償金を支払う意思がない以上、これしか方法がないとのことで、相続人の全員の合意の上、同不動産を売却し、各自が100万円ちょっとの金額だけを受け取る、という内容で本件は終了となりました。

<雑感>
Bの代理人でありながら、当職としても、換価分割にするよりも代償金を支払って相続財産を取得した方が、Bにとっては良いと思うので、もうちょっと代償金について上乗せしたらどうか、と幾度となく説得ないし提案を続けました。しかし、Bは首を縦には振りませんでした。その結果、やはり前述の通り同不動産の価値は買いたたかれてしまう結果となりました。

相続事件には、得てして感情論が問題となります。
Bさんも、「たとえ自分が損する結果となるとしても、Aに対して何もしてこなかったCDEに対して、ポケットマネーからお金(代償金)を渡すなんて、やっぱりどうしても耐えられない」という気持ちがあり、合意に至ることができませんでした。

相続事件に携わる弁護士としては、相続人たちにはそのような感情論の対立があることを前提に、代理人として送る文書の一つ一つにおいても、「ものの言い方」を意識しないといけません。CDEの代理人弁護士が作成する文書がもう少しでもBの感情に寄り添うような内容の文面だったらあるいは別の解決になっていたのでは、、と思わざるを得ません。

この経験を経て、当職としても相続事件特有の代理人の立ち回り方を学んだと自負しております。

是非、相続問題でお困りの方は、とまり法律事務所までお気軽にご相談ください。

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